その2「固い音と柔らかい音」

音楽の3要素は、メロディ、和音、リズムですね。
これらがないと音楽にはなりません。つまり、3要素は音楽であるための、数学でい うところの必要条件ですね。
ところがみなさんよくご存じのように必要であっても十分ではないですね。3要素は 音楽を音楽たらしめる十分条件ではないのですね。

さらに、楽音の3要素というのもあります。楽音とは高さ、大きさ、音色です。

高さは、楽音を構成する純音(数学で習ったサイン、コサインのグラフのような正弦 波の波の形を持つ音)のうち、最も振動数の小さいもの(基本音)の振動数によって きまります。基本音の振動数が大きいほど高い音になります。

大きさは音波の振幅に関係していて、物理的には音圧(音波が音を伝えるもの(空気 とか)に及ぼす圧力)で量られます。デシベルとかホンとかの単位はこの大きさの単 位です。

音色は「ねいろ」とも読めますね。「色」とはうまく言ったものですね。私たちは、 楽器を見なくても知っている楽器であれば何の楽器かがわかりますね。それは音色の おかげです。楽器でなくてもガラスの割れる音、金属の音、波の音、すべての生活雑 音もみんな音色があります。この音色を決定づけているのは、音波の波形です。オシ ロスコープという音波の振動するようすを目で見ることのできる器械で見ると、いろ んな楽器の波形を見ることができます。最もわかりやすいのは、数学で習ったサイン、 コサインのグラフのような正弦波ですね。三角波、鋸歯状波、矩形波など、波の形の 特徴で名前がついています。

私たちの扱う楽器の音は、単純な単一周波数だけで構成されておらず多くの周波数成 分を含んでいます。同じ実音の440HzのAでもピアノとマンドリンとギターでは 明らかに音が違いますね。それは含まれている周波数成分が440Hzのみではない ことを意味します。さっき高さで書いた「基本音」が440Hzの正弦波なんですが、 その基本音よりも大きな振動数(高い周波数)の音(上音とか倍音とか言います)が いろいろな大きさやいろいろな振動数で混ざって音色を決めています。つまり音波の 波形が決まります。ハーモニクスをご存じですね。あれは、基本音を消してある高さ の倍音以上のみを使う奏法です。たとえば、2弦のA線の開放を弾いてから左手の指 で12フレットを軽く押さえると出る音は、440Hzの音成分を消してちょうどオ クターブ上の880Hzの音を基本音に変えてしまったわけです。5フレットや7フ レットでも結構簡単にハーモニクスは出すことができますね。

長くなってしまいましたが、本題の固い柔らかいの音の違いも、この音色によるもの、 つまり含まれる上音の成分が異なって、同じ楽器であっても音色が異なると言いたか ったのです。固い音は緊張感のある音で、つまり音の高さに比例して感じますね。ピ アノの低いキーと高いキーでどっちが固い音かは自明ですものね。

今回の話は音の高さを変えずに固い音や柔らかい音を出す話です。当然ピアニストな ら同じキーの音を固く弾いたり柔らかく弾いたりすることはできるのでしょう。マン ドリンに話を戻すと、よくやるのが、ブリッジに近いところで弾くと固い音、ネック の近くで弾くと柔らかい音(sul manicoです)、という弾き方ですね。

どうしてそうなるのでしょう。もうおわかりと思いますが、同じポジションの音でも、 固い音にはより高い周波数成分の音が多く混じるのであろうということになります。

最後は推測になるのですが、物理的には、ブリッジに近いところでピッキングという ことは、より短い波長の上音に多くのエネルギーを与えることだろうと思います。ほ かの楽器での固い柔らかいの出し方はどうするのでしょうね。専門家のお話を伺いたいですね。 で、その奏法は僕の推測(より高い倍音に高いエネルギーを与える弾き方)を裏付け られますでしょうか?

きちんと理科系らしく明確な結論が書きたかった ですが、推測でおしまいにします。

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